今回は自分の展足手順を書きます。
前に書こうとしたときはコクワの展足でやろうとしましたが
デジカメのマクロが追いつけず諦めました。
しかし、ここ最近は少し大きい虫の展足をしており
自分のデジカメでも何とかマシな撮影ができるようになったのでようやく手順を書けます。
で、今回展足される虫はインドグラン。50mmはある個体です。
本当は♂で紹介するのがメジャーな気がしますが、♀は触角と前脚が交差しない為
見やすい紹介ができるので♀で紹介します。
なお、うちでは♂も♀と同様の手順・針の打ち方をします。
では、まず発泡スチロールに溝を掘ります。

BE-KUWAの標本記事参照でカッターで掘ります。
別に何のこともありませんが、浅いと安定しません。
溝に虫を置きます。

サイズが適合していれば、この時点でぐらつきはかなり少ないです。
大顎は開き気味で各脚と触角がきちんと出ているようにします。
キチンと座っていることを確認して、前胸と上翅の間に
細い針(無頭00~1号)を打ち、固定します。

打ったほうがぐらつきが少なくなる気がします。
ここを3号以上の太い針でやっても良いのですが、細いほうが寸が詰まってカッコいい気がします。
次に上翅を左右にクロスで虫体を溝に押えるように針を打ち
頭部の口唇部付近、上翅先端(ケツ先)に針を打ちます。

頭部と腹を少し持ち上げ気味にして、寸を詰めることをイメージします。
コレをしないと、頭と腹が下がっただらしない展足になりやすいです。
あと、この時に大顎を開かせて針を打ちます。
大顎をやり忘れて最後に持ってくと大顎を開かせたときに触角や前脚の展足に狂いが生じることがあります。
ここまでいけば、かなり安定してますので好きに脚と触角を展足するだけ。

最近の自分の展足は脚をあまり主張させませんね。
むし社の藤田さんの展足が好みですが、実際に作っている標本は
それよりずっとおとなしい展足をしてます。
触角の展足です。

片側につき5本使ってます。
4本で済むこともあれば、7本も使ってしまうこともあります。
〆た際の個体差が多いので、ここだけは完全に決まった型ができません。
完成です。

左右対象を心がけてますが、まだまだですね。
撮影用なので気合は少し入ってますが、大型の♂のほうがやりやすいかも。
よく跗節がムズイと聞きますが、跗節の扱い方は案外すぐに慣れます。
小さい虫でやればより早いです(ルリ系で鍛えれば、コクワクラスなら自由自在レベル)
それより難しいのは触角。
片方きれいに決めるのはいけますが、両方を左右対称にきれいに決めるのは難しい。
これも数こなして鍛えるしかないですね……
あと、うちでは基本〆た虫は早めに展足してます。
タトゥに入れたら、再展足がメンドクサくて一生そのままでしょうので……
あと、除光液で〆たものより工業用・試薬品問わず酢エチで〆たほうが
死後の軟化が良く扱いやすい傾向が確かにあるような気がします。
話を少し変えますが、自分は他人にまず虫をくれません。
幾つか理由があって以前にも書いてますが今回さらにひとつ。
せっかくの大人の趣味なので標本にして残しておいたほうが
昆虫好きという感じがして実に趣深いと思っているのも一つの理由です。
どうも、「余った虫はいらないから飛ばす」というのは嫌いなんです。
他の方のブログで拝見したことですが、
ギネスオオクワだけでなく、その上のクワガタムシが好きなのか?
クワガタムシの上でいう昆虫が好きなのか?という問いかけが実に良いこと言ってる気がしてなりません。
ここ数年の人がギネスに挑戦できるやっかみもあるのかもな的な物言いなんですがね。
自分も並み居る2000年前後の「外国産ブームを堪能し一回りして引退していく」という
一時代をしぶとくも生き残ってしまい、気がつけば極太はオワコン、時代はギネス狙いの中で
どうにか意地を見せたいと思っていますが、どうなるかは……
勝手な妄想ですが、アンテ全盛時の奇人たちが今のギネスにバリバリで参戦したら
凄まじそうだなあとふと思っています(まあ、知識はあっても基本は金の人たちばっかだったけど)