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標本の展足覚書

今回は自分の展足手順を書きます。

前に書こうとしたときはコクワの展足でやろうとしましたが
デジカメのマクロが追いつけず諦めました。
しかし、ここ最近は少し大きい虫の展足をしており
自分のデジカメでも何とかマシな撮影ができるようになったのでようやく手順を書けます。

で、今回展足される虫はインドグラン。50mmはある個体です。
本当は♂で紹介するのがメジャーな気がしますが、♀は触角と前脚が交差しない為
見やすい紹介ができるので♀で紹介します。
なお、うちでは♂も♀と同様の手順・針の打ち方をします。

では、まず発泡スチロールに溝を掘ります。
DSCN0061.jpg
BE-KUWAの標本記事参照でカッターで掘ります。
別に何のこともありませんが、浅いと安定しません。

溝に虫を置きます。
DSCN0062.jpg
サイズが適合していれば、この時点でぐらつきはかなり少ないです。
大顎は開き気味で各脚と触角がきちんと出ているようにします。

キチンと座っていることを確認して、前胸と上翅の間に
細い針(無頭00~1号)を打ち、固定します。
DSCN0063.jpg
打ったほうがぐらつきが少なくなる気がします。
ここを3号以上の太い針でやっても良いのですが、細いほうが寸が詰まってカッコいい気がします。

次に上翅を左右にクロスで虫体を溝に押えるように針を打ち
頭部の口唇部付近、上翅先端(ケツ先)に針を打ちます。
DSCN0064.jpg
頭部と腹を少し持ち上げ気味にして、寸を詰めることをイメージします。
コレをしないと、頭と腹が下がっただらしない展足になりやすいです。
あと、この時に大顎を開かせて針を打ちます。
大顎をやり忘れて最後に持ってくと大顎を開かせたときに触角や前脚の展足に狂いが生じることがあります。

ここまでいけば、かなり安定してますので好きに脚と触角を展足するだけ。
DSCN0066.jpg
最近の自分の展足は脚をあまり主張させませんね。
むし社の藤田さんの展足が好みですが、実際に作っている標本は
それよりずっとおとなしい展足をしてます。

触角の展足です。
DSCN0068.jpg
片側につき5本使ってます。
4本で済むこともあれば、7本も使ってしまうこともあります。
〆た際の個体差が多いので、ここだけは完全に決まった型ができません。

完成です。
DSCN0072.jpg
左右対象を心がけてますが、まだまだですね。
撮影用なので気合は少し入ってますが、大型の♂のほうがやりやすいかも。


よく跗節がムズイと聞きますが、跗節の扱い方は案外すぐに慣れます。
小さい虫でやればより早いです(ルリ系で鍛えれば、コクワクラスなら自由自在レベル)
それより難しいのは触角。
片方きれいに決めるのはいけますが、両方を左右対称にきれいに決めるのは難しい。
これも数こなして鍛えるしかないですね……

あと、うちでは基本〆た虫は早めに展足してます。
タトゥに入れたら、再展足がメンドクサくて一生そのままでしょうので……
あと、除光液で〆たものより工業用・試薬品問わず酢エチで〆たほうが
死後の軟化が良く扱いやすい傾向が確かにあるような気がします。


話を少し変えますが、自分は他人にまず虫をくれません。
幾つか理由があって以前にも書いてますが今回さらにひとつ。
せっかくの大人の趣味なので標本にして残しておいたほうが
昆虫好きという感じがして実に趣深いと思っているのも一つの理由です。
どうも、「余った虫はいらないから飛ばす」というのは嫌いなんです。

他の方のブログで拝見したことですが、
ギネスオオクワだけでなく、その上のクワガタムシが好きなのか?
クワガタムシの上でいう昆虫が好きなのか?という問いかけが実に良いこと言ってる気がしてなりません。
ここ数年の人がギネスに挑戦できるやっかみもあるのかもな的な物言いなんですがね。
自分も並み居る2000年前後の「外国産ブームを堪能し一回りして引退していく」という
一時代をしぶとくも生き残ってしまい、気がつけば極太はオワコン、時代はギネス狙いの中で
どうにか意地を見せたいと思っていますが、どうなるかは……

勝手な妄想ですが、アンテ全盛時の奇人たちが今のギネスにバリバリで参戦したら
凄まじそうだなあとふと思っています(まあ、知識はあっても基本は金の人たちばっかだったけど)
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2012年久留米を育むブリードルームの様子

DSCN0059.jpg

DSCN0060.jpg

ブリードルーム、2012年久留米の飼育状況です。
上画像がオアシス部隊。
下画像はラックの上から1~2段がHS1400で
3~4段は手詰めLEVIN-G1800の個体群。

ブリードルームの温度は先日、温度設定を下げて
26℃→25℃狙いとなっていますが、まあボチボチな感じですね。
今後も2本目中にゆっくり23℃程まで下げる予定です。

スペースの状況は、1本目を置いていた時と異なり♂用のボトルがスペースを食っています。
ところどころ空きスペースはありますが、そこは3本目を入荷したときに
寝かす為に置くスペースですね。
スペース面では現状では毎年300が上限という感じですね。


さて、次は各菌糸銘柄別の近況です。

オアシスは投入後1ヶ月以上経過したのが多いですが
食痕が予想外に多く出てます。
あと3ヶ月弱持つのかという状況ですね……

HS部隊は、食痕がまだほとんど出てないです。
とても25gオーバーがいるボトルとは思えないほど、安定後は動きがないです。
HSは安心して最終ボトルに移行できると思っています。

LEVIN-G部隊はちょっと良く分からないところがあります。
ボトルそのものの状態が悪いのもあれば、ある番号だけが交換後に
安定しなかったり、ボトルをたちまちカビボトルに変貌させたり……
ようやく安定してきた感じですが、大きい個体と小さい個体の2極化しそうな予感です。


♂は現在144♂いますが、うち3♂が2本目に馴染めず大幅体重減で脱落確定してしまうという
悲しい事態が発生してしまいました。
期待の面では、今年の2本目交換時の目標である28g以上を達成できた21頭。
期待と不安が入り混じる3本目までの辛抱がヒシヒシと長く感じます。

我慢の時期 展足の秋

今年は自分もそれなりに補強したはずですが
他の方のブログを見てると良い補強をしてるなあと羨ましく思えてしまいます。

あと、2本目交換情報もやっぱ能勢YGスゲェな……としか言いようがない有様。
昨年もそうでしたが、この時期の能勢YGはギネス争奪戦2番手の久留米を
完全に置き去りにしてしまうほど体重乗っているようで。

この時期は久留米ブリーダーは我慢の時期いう感じですね。


DSCN0058.jpg

さて、ここ数日コツコツ展足してます。
やっと40頭というとこですが、まだまだですね。

うちでは国産は最大サイズで計ってますが、外国産は厳しめに計ってますので
標本にすると大抵、生体時測定よりコンマ数ミリ大きい数値になります。
その為、カスカス70のカミジョウが71になったり、74ほどのクルビssp.が75越えてたり……

まあ、展足していて楽しい虫はクルビssp.の♂。
クルビ系は顎開くとカッコいいので基本楽しいです。
クルビssp.は顎を大きく開いて通常通りに触角を処理すると大顎に干渉する為、
キクロみたいに第1節を下げて、第2節のところは直角に処理しています。
ただ、普通に展足すれば別に干渉しません。
大顎をカッと開くともの凄いカッコよさなのでつい作ってるだけです。


さて、とりあえずはクルビssp.とカミジョウの大軍勢はほぼ終わらせたので
次はインドグランとミンパリ。
ブリードルームに成虫を積んだパレットが15枚以上ありますが
7枚くらいまでは減らしたいですね……

しかし、志賀有頭3~6号針がいよいよ欠乏してきました。
3000本くらいあるはずなのでもう何頭か展足できると思いたいですが……
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庚午 虫蔵

Author:庚午 虫蔵
久留米専。
自称
「最後のクワガタ狂世代」
の足掻きです。

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